「自分だけのオリジナルボードゲームを作りたい!」そう思ってはみたものの、どこから始めればいいのか、どうやって形にすればいいのか、迷っていませんか?ボードゲーム製作は、アイデアを出すだけではなく、ルールの構築やデザイン、さらにはテストプレイまで、多くの工程があり、初めての人には少しハードルが高く感じるかもしれません。
私も同じように考えていましたが、普段の仕事で意識しているプロジェクト管理のノウハウを使うことで3か月でオリジナルのボードゲームを完成させることができました。これから掲げる7つのステップに分けて効率的に進めることで、誰でも楽しく製作を進められるようになります。
この記事では、初めてでも無理なく進められるボードゲーム製作の具体的なステップを紹介しています。計画的に進めることで、予算管理やスケジュールのトラブルを防ぎ、3か月という短期間でゲームを作り上げる方法が手に入ります。これを読めば、あなたもゲームクリエイターの一歩を踏み出せるはずです!
1. アイデアの発掘と絞り込み:どんなゲームを作りたい?
ボードゲームを作りたいと思った時、最初に抱えるのが「どんなゲームを作ろうか?」という悩みではないでしょうか。アイデアは製作のスタート地点です。しっかりとしたアイデアがないと、途中で方向性を見失ったり、手戻りが発生しがちです。最悪の場合、完成まで持っていけない可能性があります。この章では、初めての人でも迷わずにゲームアイデアを発掘し、形にするための方法を紹介します。
ボードゲーム製作を始めるにあたって、一番最初にやるべきことは「どんなゲームを作りたいか」をしっかりと決めることです。ここでのアイデアが、あなたのゲーム全体を形作る土台となります。アイデア次第でゲームの方向性が決まり、その後のルール作りやデザインもスムーズに進められるようになります。
ボードゲーム製作は細かな作業がたくさんあるプロジェクトです。最初に明確なアイデアがないと、途中で方向を見失ってしまったり、必要以上に手間がかかることが多いのです。テーマが曖昧だと、ルール作りやデザインに迷いが生じることもあります。逆に、しっかりしたアイデアがあれば、全体の方向性が一貫していて、プレイヤーにとっても分かりやすく、魅力的なゲームになります。
まずは【どんなゲームが作りたいか】しっかりイメージすることが大事!!
例えば、あなたが「冒険をテーマにしたファンタジーゲーム」を作りたいと思ったとします。この場合、プレイヤーが仲間と協力して物語を進めていくようなストーリー性を強調するゲームが考えられます。キャラクターの成長や装備の収集、戦闘など、プレイヤーが物語にのめり込む要素が重要になりますね。
一方、「戦略性を重視したカードゲーム」を作るなら、プレイヤー同士の駆け引きやルールのシンプルさ、カードのデザインに重点を置くことが必要です。この場合、バランスの取れたルールや、運と戦略がほどよく絡み合ったゲーム性が求められます。
このように、最初のアイデアがはっきりしていると、どんな要素を取り入れたらいいのかが自然と見えてきますし、作業も効率よく進められます。
だからこそ、まずは「どんなゲームを作りたいのか?」をじっくり考えることが大事です。アイデアを思いついたら、まずは紙に書き出してみましょう。書き出すことで、自分が本当に作りたいゲームの要素がクリアになり、他のゲームと差別化できるポイントが見つかります。このステップをしっかり踏んでおけば、その後の製作過程も迷わずに進められるようになります。結果として、プレイヤーにも愛される、完成度の高いゲームを作り上げることができるでしょう。
アイデアはとにかく書き出しておく(Notion、メモアプリなど活用しよう)
ゲームアイデアが固まったら、次に考えるべきは「どのジャンルのゲームにするか」です。ボードゲームにはさまざまなジャンルがあり、それぞれ異なるプレイスタイルや体験を提供します。ジャンルを決めることで、ゲームのルールやデザインの方向性がより明確になり、製作プロセスがスムーズに進みます。ここでは、代表的なボードゲームのジャンルを紹介しますので、自分のゲームに合ったものを選んでみましょう。
ジャンル | 説明 | 例となるゲームタイトル |
---|---|---|
ブラフ | 他のプレイヤーを騙したり、フェイク情報を使う心理戦が重要なゲーム。 | ライアーズダイス |
正体隠匿 | プレイヤーの正体を隠しつつ、他のプレイヤーの正体を見破るゲーム。 | 人狼・レジスタンス |
タイル配置 | タイルを戦略的に配置し、ボードを作り上げるゲーム。 | カルカソンヌ |
拡大再生産 | リソースや影響力を拡大し、ゲームを進行させるジャンル。 | テラミスティカ、スルー・ジ・エイジズ |
ドラフト | プレイヤーが順番にカードやリソースを選択し、戦略を組み立てるゲーム。 | 7ワンダー |
ワーカープレイスメント | コマ(ワーカー)を配置してリソースを得たり行動を実行するゲーム。 | アグリコラ、ケイラス |
陣取り | エリアや領地を獲得し、他のプレイヤーと競争するゲーム。 | リスク、エルグランデ |
デッキ構築 | ゲーム中にデッキを強化し、自分の戦略に合ったデッキを作るゲーム。 | ドミニオン |
競り | リソースやカードを競りにかけ、入札によって獲得するゲーム。 | モダンアート、パワーグリッド |
協力 | 全員が協力して共通の目標を達成するゲーム。 | パンデミック、アンドールの伝説 |
表現 | 自分のアイデアや感覚を使い、他のプレイヤーに何かを表現するゲーム。 | ピクショナリー、ディクシット |
アクション | 反射神経やスキルを使って物理的に操作するゲーム。 | ジャングルスピード、キャプテン・リノ |
2. 予算計画を立てる:製作コストを見積もって進めよう
ボードゲーム製作において、予算計画を立てることはプロジェクト全体の成功に直結します。どれだけ魅力的なアイデアがあっても、予算をしっかり管理しなければ、途中で計画が頓挫してしまうことも。ここでは、ボードゲーム製作にかかる主要な費用について具体的に見ていきましょう。
1. 印刷代
印刷代はボードゲーム製作における最も大きなコストの一つです。印刷にかかる費用は、選ぶ紙質やカラー、部数によって大きく変動するため、テキトーに見積もると予算を大幅に超えてしまうリスクがあります。
特に、初めてボードゲームを製作する際には、各印刷業者のウェブサイトで具体的な見積もりを取ることが有効です。多くの業者がオンラインで簡単に見積もりを出してくれるツールを提供しており、自分の必要な枚数や素材を入力するだけで、実際の費用がわかります。これにより、部数を増やした場合のコスト増加や、特定の素材や特殊加工にかかる追加費用を事前に確認できます。
また、複数の業者から見積もりを取ることで、価格を比較することができ、自分の予算に最も合った選択が可能です。最初の製作段階では少量の試作品を作り、後で大規模に印刷する際にはコストを抑える方法を選ぶのも一つの手です。実際に見積もりを行うことで、印刷費用に関する不安を解消し、より現実的な予算計画を立てることができます。
事前の調査と具体的な見積もりによって、計画外の出費を避け、ゲームのクオリティを維持しながら無理のない予算内で製作を進めることができるでしょう。
まずはオンライン見積を活用して概算費用を把握しましょう
目安として萬印堂様でのweb見積を載せておきます。(100セット製造 1セット/52枚 化粧箱)
この場合だと1セットあたり1,150円が費用として掛かってきます。
(ゲームマーケット等の大きなイベントで販売する場合には依頼時期によって割引が発生します。)
2. デザイン代
デザインに関してはプロに依頼をする場合、費用が多く掛かってしまいます。少量製造の場合ほとんど自分で作成する必要があります。私もイラストが一切描けないので、同じようにイラストが苦手な方でも大丈夫な方法をご紹介します。
・生体AIを活用する方法
近年は生体AIを無料で利用できるサービスが多くあります。私もゲムマ2024年秋に出展する作品はAIで作成しています。
AI生成の利点はイメージが合うイラストが生成されるまで何度も試せることです。
*生成AIの商業利用につきましては各サイトの規約を確認の上利用ください。
無料の範囲では商業利用が禁止されている場合がございます。
(例)ChatGPTにて生成された画像
あとは画像編集ソフトでちょっと弄るだけでそれっぽく作成ができます。
生成AIはとにかく納得がいくまで何度でも繰り返せる
*生成AIは無料で使えても入稿には画像ソフトの費用が掛かる
印刷所に依頼する際はデータでの入稿が必要です。これらは主にillustratorやPhotoshopが主流です。しかしこれがかなり高価であるためできれば費用は抑えたい!?もちろんそう思いますよね?
印刷所の担当者さんにズバリ聞いてみました!
無料で使えるソフトでも入稿が不可能ではありませんが、どうしても同期ズレなどの品質に影響するトラブルが発生する可能性があるため非推奨となっています。印刷所では正規品か無料ソフトでの作成物かの判断はできないため完成後にトラブルとなるケースがあります。
やっぱり一番は正規品を使用することみたいですね。illustratorだと月額3280円にて利用が可能です。
実際ゲーム制作の過程でillustratorを使う場面は非常に多いので扱いに慣れておくと今後が楽になります。
イベント出展の際はカタログのサークルカットであったり、Xでの宣伝画像、当日のポスターなど多岐に使用します。
印刷所にはaiファイルでの入稿が多い。(illustrator,photoshopなど必要)
illustoratorなどは試用期間7日間の無料をうまく活用
3. イベント等での出展費用
ボードゲームを広めるためには、各種イベントやコンベンションへの出展が有効です。ゲームマーケットやコミュニティイベントなどで自作ゲームを紹介し、テストプレイを通じてフィードバックを得ることができます。しかし、これには出展費用やプロモーション費用がかかります。
イベント参加にかかる費用は、出展ブースのレンタル費や交通費、宿泊費など、直接的な費用だけでなく、イベント用のプロトタイプやパンフレットの印刷費も考慮する必要があります。さらに、イベントでのテストプレイを通じて、ゲームの改良点が明確になることも多く、製作の最終段階で必要なコストを再確認するためにも有効です。
*ゲームマーケット2024秋の公式サイトより抜粋
2-2予算のバランスを考える
これらの費用を把握したうえで、予算全体をどのように割り振るかが重要です。印刷代、デザイン代、イベント出展費用は、どれも削れない重要なコストですが、製作段階や販売戦略に応じて優先度を調整する必要があります。初期予算が限られている場合は、クラウドファンディングを利用して資金調達を行うことも検討しましょう。
予算をしっかりと計画することで、ボードゲーム製作はより現実的に進行できます。計画的な予算配分で、スムーズに製作を進めていきましょう。
3. ゲームの基本ルールを決める:どうやって遊ばせるか?
ボードゲーム製作には、アイデアの発案から実際の製品化まで、さまざまな工程があります。この全てを頭の中で管理するのは難しいため、タスク管理ツールやシンプルな表を使って、全体の進捗状況を可視化することが成功への鍵となります。
まず、製作プロセスを大まかに分けると以下のようなステップが含まれます
- アイデア出しとコンセプト設計
- ルール作りとテストプレイ
- デザインの決定と試作品作成
- 印刷と量産の手配
3-1.タスク管理ツールの活用
各種ステップを明確にしたら、各ステップに必要なタスクを細分化していきます。例えば、「ルール作成」には以下の要素があります。
- 基本ルールを定義する
- 勝利条件を決める
- プレイヤーのアクションを整理する
- ゲームバランスをテストプレイで調整する
これらの項目を把握するために、タスク管理ツールを使うことを強くお勧めします。例えば、Notionや EVERNote といったツールを使えば、各タスクの進行状況を「未着手」「進行中」「完了」といった形で視覚的に管理することができます。以下のようにシンプルなボードを作成すると良いでしょう。
アイデア出し | 完了 |
ルール作成 | 進行中 |
テストプレイ | 未着手 |
デザイン決定 | 進行中 |
試作作成 | 未着手 |
印刷手配 | 未着手 |
3-2.ガントチャートで進行状況を把握
さらに、プロジェクト全体の進行を長期的に見るためには、どの工程がどれくらい掛かるかが大切です。各タスクがどの時点で完了する必要があるか、またタスク同士の依存関係を視覚的に把握できます。特に気を付けないと行けないことは印刷所にデータ入稿の後です。初めての場合データの不備があった場合は入稿できない場合があります。修正をしている間に締め切りに間に合わない・・・そんなことも考えられます。余裕を持ったタスク管理をしましょう
例えば、以下のように進行を管理すると、各タスクがどのように連携しているのかが一目瞭然です。
工程管理の例
タスク名 | 期間 | 進行状況 |
---|---|---|
アイデア出し | 1週間 | 完了 |
ルール作成 | 2週間 | 進行中 |
テストプレイ | 3週間 | 未着手 |
デザイン決定 | 2週間 | 未着手 |
試作作成 | 1週間 | 未着手 |
印刷手配 | 1週間 | 未着手 |
3-3.進捗の可視化が成功の鍵
タスク管理を適切に行うことで、ボードゲーム製作の全プロセスが明確になります。特に、製作中に起こりがちな「何を次にすべきかわからない」「どこで遅れが出ているか見えない」といった問題を防ぐために、視覚的に進行状況を確認できるツールは非常に有用です。
また、タスク管理は単にスケジュールを守るだけでなく、各プロセスで何が必要かを計画的に把握するための手段でもあります。製作の各段階で必要なリソースや時間を効率的に配分するため、しっかりとタスクを見える化し、計画的にプロジェクトを進めていきましょう。
何にどのくらい時間がかかるのかを可視化して、期限から逆算して考えよう
(外部に委託する作業は特に余裕持ったスケジュールを意識する)
4. 試作品の作成:まずは形にしてみる!
アイデアやルールが固まったら、次に進むべきは「試作品作成」です。実際に形にしてテストするための初期バージョンです。実際に手に取って遊んでみることで、ルールやゲームバランスの問題を発見し、改善することができます。
4-1.試作品作成のポイント
最初から豪華なものを作る必要はありません。むしろ、まずは手軽に、コストをかけずに作れる試作品から始めましょう。以下に、安価に揃えられる材料と作り方を紹介します。
- 100均の材料
100均では、試作品作りにぴったりなアイテムが数多く揃っています。無地のトランプサイズのカード、紙製のボード、カラフルなポーカーチップやコマなどがすぐに見つかります。これらを使えば、手軽にカードやコマを用意できるので、コストを抑えて試作品を作ることが可能です。 - 通販での材料購入
もし100均で揃わない場合は、通販サイトで安価な素材を購入するのも良い方法です。無地のカードやトークンセット、A4サイズの紙ボードなど、必要な材料を簡単に見つけることができます。通販を利用すれば、たくさんの素材が一度に手に入るので、大量の試作品を作りたい場合にも便利です。 - 手作りの工夫
試作品作りの初期段階では、手描きのボードやカードでも十分です。例えば、コピー用紙に自分でボードのデザインを描いたり、付箋やシールを使ってトークンやマーカーを簡単に作ることができます。時間と労力を節約しながら、何度でも作り直せる柔軟な試作品作りが可能です。
4-2.試作品をテストする
試作品が完成したら、次に行うべきはテストプレイです。ここで大事なのは、他の人にも実際にプレイしてもらうことです。自分一人では気がつかないルールの不備やゲームバランスの偏りが、第三者の視点で明らかになることがよくあります。
いろんなサークルやゲームカフェで試遊会が行われていります。参加すれば多くの人に試作品を遊んでもらえ感想を聞くことができます。
テストプレイの際に聞くべき質問は、以下のようなものが効果的です
- ルールはわかりやすかったか?
- ゲームの進行はスムーズだったか?
- 難易度は適切だったか?
- どこか退屈に感じる部分はあったか?
これらのフィードバックをもとに、試作品を何度でも改良していきましょう。失敗は成功への第一歩ですので、フィードバックを積極的に活かし、改善を重ねて完成度を高めます。
5. ルールブック作成:わかりやすく、シンプルに!
ボードゲームを作るうえで、大切な要素が「ルールブック」です。どんなに面白いゲームでも、ルールが理解できなければプレイヤーは楽しむことができません。特に初めてのプレイヤーにとってルールブックはゲームの導入部分です。ルールブックが難解だと、ゲーム自体を敬遠されてしまう可能性もあります。だからこそ、ルールブックは「わかりやすく、シンプルに」作ることが成功の鍵です。
5-1. ルールブックの基本構成
ルールブックを書く際には、以下のような基本的な構成を意識しましょう。
- 1. ゲームの目的
まずは、このゲームがどんな目的を持っているのかを簡単に説明します。たとえば、「最も多くのポイントを稼いだプレイヤーが勝ちます」といったように、ゴールが明確であることが大切です。 - 2. セットアップ方法
次に、ゲームを始める準備として、ボードやカードの配置方法、プレイヤーごとの準備物について説明します。このステップが複雑だと、プレイヤーがゲームを始めるまでにストレスを感じてしまうので、画像や図解を使い、直感的に理解できるようにしましょう。 - 3. 基本ルール
ゲームの進行に関する基本的なルールを説明します。ターンの流れ、プレイヤーのアクション、得点の獲得方法など、ゲームを進めるうえで必要なルールを順を追って説明します。ここでも、できるだけ簡潔にすることを心がけ、各ルールごとに見出しをつけて読みやすくします。 - 4. 特別なルールや例外
ゲームによっては、基本ルール以外に特殊なルールや例外が存在することがあります。これらはゲームの後半に記載し、プレイヤーが途中で混乱しないように配慮します。ルールの例外は一気に説明するのではなく、ゲームの流れに合わせて適切な場所に配置すると良いでしょう。 - 5. 勝利条件
ゲームの終了条件や勝者の決定方法を明確に伝えます。プレイヤーにとって、どのタイミングで勝敗が決まるのかをしっかりと把握できることが重要です。
5-2. わかりやすさを追求するためのヒント
ルールブックを作成する際、以下のポイントを意識することで、さらにわかりやすい内容に仕上げることができます。
- 図解やイラストの活用
文章だけでは理解しづらい部分は、図解やイラストを使って説明するのが効果的です。ボードやカードの配置方法、ゲームの進行例などは、視覚的に示すことでプレイヤーが直感的に理解しやすくなります。ルールの説明文と図を一緒に配置することで、混乱を防ぐことができます。 - 簡潔な言葉選び
ルールブックは、簡潔な表現を心がけましょう。長々とした説明は避け、プレイヤーがすぐに理解できる短い文で要点を伝えます。専門用語や難しい言葉はできるだけ避け、初めてのプレイヤーにもわかりやすい言葉を選ぶことが大切です。 - 段階的な説明
一度にすべてのルールを説明するのではなく、プレイヤーがゲームを進めながら必要な情報を得られるように、段階的にルールを説明する方法もあります。例えば、「ゲームの流れに沿って説明する」形式を採用することで、プレイヤーはゲームを進めながらルールを学びやすくなります。 - FAQを追加する
プレイヤーが抱く疑問を事前に想定し、ルールブックの最後にFAQ(よくある質問)を追加しておくと、ゲーム中の混乱を防ぐことができます。実際にテストプレイ中に受けた質問をもとに、このセクションを充実させると良いでしょう。
5-3. テストプレイを通じて改良
ルールブックが完成したら、必ずテストプレイでそのわかりやすさを確認しましょう。実際にルールブックを見ながらゲームを進めてもらい、プレイヤーがどこでつまずいたのか、どの部分が理解しづらかったのかをフィードバックしてもらいます。
プレイヤーからのフィードバックを元に、ルールの説明を修正し、よりシンプルでわかりやすいルールブックを作成しましょう。テストプレイを重ねることで、自然と改善点が見えてきます。
6. デザインとビジュアルの整え方:ゲームの顔を決める
ボードゲームのデザインやビジュアルは、プレイヤーが最初に目にする「ゲームの顔」となる部分です。魅力的なデザインは、ゲームのテーマや雰囲気を伝えるだけでなく、プレイヤーの興味を引き、ゲームへの没入感を高める重要な要素です。ここでは、ゲームのデザインとビジュアルを整える際のポイントについて解説します。
6-1. ゲームのテーマに合わせたデザイン
まず、デザインはゲームのテーマにしっかりとマッチしていることが重要です。ファンタジー系のゲームであれば壮大で神秘的なアートワークが求められ、戦略系のゲームであればシンプルで機能的なデザインが効果的です。テーマに合わせたデザインを採用することで、プレイヤーにゲームの世界観を一目で伝えることができます。
デザインを考える際には、以下のような要素を考慮しましょう:
- 色の選択
色はゲームの雰囲気や感情を伝える強力なツールです。温かい色(赤やオレンジ)は緊張感やアクションを、冷たい色(青や緑)は平穏や戦略を表現することが多いです。ゲームのテーマに合ったカラーパレットを選ぶことで、デザインに一貫性を持たせましょう。 - フォントの選定
ルールブックやカードに使用するフォントもデザインの一部です。読みやすさを優先しつつ、テーマに合ったフォントを選びましょう。例えば、ファンタジー系のゲームでは手書き風のフォントが適していますが、シンプルなカードゲームではスタイリッシュで明瞭なフォントが効果的です。 - アートワークのスタイル
ゲームのビジュアルは、プレイヤーにとって世界観を伝える重要な手段です。キャラクターデザイン、背景イラスト、アイコンなど、ゲームに登場するアートワークが統一されていることで、プレイヤーがゲームに没入しやすくなります。もし自分でデザインが難しい場合は、プロのイラストレーターやデザイナーに依頼するのも一つの方法です。
6-2. 機能性と美しさのバランス
ゲームデザインにおいて重要なのは、ビジュアルの美しさだけでなく、ゲームプレイをサポートする機能性も考慮することです。ボードやカードのデザインが複雑すぎると、プレイヤーが情報を一目で理解できず、ゲームの進行が遅れる原因となることがあります。
例えば、アイコンやシンボルはシンプルで明確にし、視覚的にすぐに理解できるようにすることが大切です。ゲーム中に何度も参照するボードやカードに関しては、情報を簡潔にまとめ、デザインの中で視認性を高める工夫をしましょう。
ターンの進行手順や、手番アクションなど何度も必要になる項目をまとめてサマリーを作ると機能性が高まります
6-3. デザインツールやリソースの活用
自分でデザインを行う場合、使いやすいデザインツールを活用するのも良い方法です。以下のようなツールを使用することで、プロフェッショナルな見た目のゲームデザインを作成できます。
- Canva
シンプルな操作で美しいデザインを作成できるツール。テンプレートも豊富で、初心者でも簡単に扱えます。 - Adobe Illustrator
プロフェッショナル向けのデザインツール。高精度のデザインが可能で、細かいアートワークを作成するのに適しています。 - FreepikやIcons8
高品質なイラストやアイコンを提供しているウェブサイト。無料や有料で素材をダウンロードでき、デザインに使うことができます。
7. 最後の確認と仕上げ:製作を無事に終わらせるためのチェックリスト
最終段階に入ったら、これまでの工程をしっかりと確認し、入稿にミスがないように細心の注意を払います。印刷所では誤字脱字は確認してもらえないためミスがあるとそのまま製品化されてしまいます。ここまで多くのステップを経てきましたが、最後の仕上げで手を抜くと、細かなミスや不備が製品の品質に影響を与え、プレイヤーに満足してもらえない可能性があります。最終確認として、以下のチェックリストを使って、すべての項目をしっかりと確認しましょう。
- ルールブックの最終確認が済んでいる(誤字脱字はないか、内容物の枚数は適切か)
- デザインと印刷データが最終確認されている(入稿の注意事項に沿って提出できているか)
- すべてのパーツが揃い、数量も正確
- ゲームバランスがテストによって調整されている
- パッケージが完成し、全パーツが適切に収納できるか確認している
最後に
ボードゲーム製作の全工程を解説してきました。アイデアの発掘から試作品の作成、デザインの整え方、そして最終的な仕上げに至るまで、多くのプロセスを経て一つのゲームが完成します。製作過程では試行錯誤があり、時には壁にぶつかることもあるかもしれません。しかし、その過程こそがクリエイティブな挑戦であり、最終的に自分だけのゲームが形になったときの達成感は、何にも代えがたいものです。
初めてのボードゲーム製作は、未知の分野に足を踏み入れるような感覚かもしれませんが、一歩一歩ステップをしっかり踏んでいけば、必ず形にすることができます。この記事が、あなたのゲーム製作の旅をサポートし、ゲーム作りの楽しさとやりがいを感じていただけるきっかけになれば幸いです。
自分のゲームがプレイヤーの手に渡り、楽しんでもらえる瞬間を思い描きながら、ぜひ製作に取り組んでみてください。あなたのアイデアが形となり、たくさんの人に愛される素晴らしいゲームが誕生することを楽しみにしています。あなたの作品とどこかで出会うことを楽しみしています。